積立投資の下落時に「減額」や「一時停止」はセーフ?知っておきたいドルコスト平均法の罠

「新NISA・積立投資の解説記事用アイキャッチ画像。緑と黄色を基調とした優しいイラストで、中央に本を持ったフクロウのキャラクターが立っている。フクロウの下には『積立投資の下落時「減額」や「一時停止」はセーフ?知っておきたいドルコスト平均法の罠』という大きなタイトル文字。背景左側には下落する株価チャートと不安げな表情のグラフ、右側にはV字回復するチャートと笑顔の投資家、コインの実がなる木が描かれ、継続することの大切さを表現している。」 初心者向け

新NISAなどで積立投資を始めたものの、株価の下落や元本割れを見て「このまま続けて大丈夫かな…」と不安になっていませんか?

「完全にやめるのはダメだと分かっているけれど、せめて投資額を『減額』したり、一時的に『停止』して様子見するのはセーフだよね?

そう考えてしまう気持ち、とてもよく分かります。少しでも資産が減るダメージを抑えたいですよね。

しかし、実はこの「減額」や「一時停止」こそが、積立投資の最大の武器である「ドルコスト平均法」の効果を半減させてしまう恐ろしい罠なのです。下落時に手を出してしまうと、将来株価が回復したときに「大損」してしまうリスクがあります。

そこでこの記事では、下落相場における「減額・一時停止」がなぜNGなのか、その理由を初心者向けに分かりやすく解説します。

この記事を読めば、暴落時でもパニックにならず、将来しっかり利益を出すための「正しい投資行動」が分かります。資産を守り、育てるために、フクロウと一緒に今一度投資の鉄則をおさらいしていきましょう!

積立投資の下落時に「減額」「一時停止」したくなる心理

新NISAなどで毎月コツコツ積み立てていた資産が、ある日突然「元本割れ」を起こしたり、マイナス額が日に日に膨らんでいったりすると、誰だって生きた心地がしないものです。

画面を見るたびに減っていく資産。そんな時、私たちの頭にはこんな選択肢が浮かびます。

  • 「これ以上損したくないから、株価が戻るまで一旦『一時停止』しよう」
  • 「毎月3万円はキツいから、せめて月5,000円に『減額』して様子を見よう」

完全に解約して(売却して)やめてしまうわけではないから、「減額や一時停止くらいならセーフでしょ?」と思ってしまいますよね。

確かに、一時的に積立を止めれば、これ以上手元の現金が減ることはありません。一見、リスクを抑えた賢い選択(メリット)のように思えます。

しかし、投資の世界、特に「積立投資」においては、この一瞬の守りの行動が、将来の利益を致命的に減らしてしまう原因になってしまうのです。

その理由を紐解くカギが、積立投資の心臓とも言える「ドルコスト平均法」の仕組みにあります。

なぜNG?「減額」「一時停止」に潜むドルコスト平均法の罠

「完全に売却しないなら、減額や一時停止でも大差ないのでは?」と思ってしまいますが、ここには積立投資の基本である「ドルコスト平均法」の仕組みを根底から崩してしまう罠があります。

理由を一言で言うと、「下落時こそ、最も多くの『口数(こうすう)』を安く仕込めるボーナスタイムだから」です。

罠①:「減額」すると、安値で多く買うチャンスを捨てることになる

積立投資(投資信託)は、金額ではなく「口数(商品を購入する量)」を積み上げていくゲームです。

ドルコスト平均法は、毎月「一定の金額」を買い続けることで、以下のようなメリットを生み出します。

  • 株価が高いとき: 少ししか買えない(高値掴みを防ぐ)
  • 株価が低いとき: たくさん買える(安値で大量に仕込む)

もし、下落したからといって毎月の積立額を減らしてしまうと、本来なら「バーゲンセールで大量に安く買えたはずの口数」が、少ししか買えなくなってしまいます。

罠②:「一時停止」すると、平均取得単価が下がらない

一時停止をしてしまうのは、バーゲンセールが開催されているのに「お店に入らずお店の前でじっと待っている」のと同じです。

積立投資の強みは、下落時にも買い続けることで、自分の持っている資産の「平均購入価格(平均取得単価)」をどんどん引き下げられる点にあります。

  • 買い続けた場合: 平均価格が下がるため、株価が少し戻っただけでプラスに転じやすい。
  • 一時停止した場合: 平均価格が下がらないため、株価が「自分が投資を始めた元の高い水準」まで完全に回復するまで、ずっと含み損のままになってしまう。

【簡単シミュレーション】やめた人と続けた人の差

例えば、毎月1万円ずつ積み立てていて、商品の価格が「100円 → 50円(下落) → 100円(回復)」と動いたとします。

  • 淡々と続けた人: 50円のときにたくさん(200口)買えているため、100円に戻ったときには大きな利益が出ます。
  • 一時停止した人: 50円のときに買えなかったため、100円に戻ってもトントン(利益ゼロ)です。
  • 減額した人: 50円のときに少し(100口など)しか買えなかったため、利益も少しになります。

このように、下落時の「減額」や「一時停止」は、一見ダメージを抑えているようで、実は「将来の株価回復期に爆発的な利益を生むための種まき」を自ら放棄している行為なのです。

逆に「一括で買い増し」するのはアリ?ナシ?

下落時に「減額」や「一時停止」がNGで、むしろ安く買えるチャンスなのだとしたら、こんな疑問が湧いてきませんか?

「だったら、手元にある貯金を一気に使って『一括買い増し』した方が、もっと儲かるのでは?」

株価が下がっているタイミングで追加投資することは、一見すると非常に賢い投資戦略に思えます。しかし、投資初心者がこれをやろうとすると、別の罠にはまってしまう危険性があります。

結論から言うと、初心者のうちは「無理に一括買い増しはせず、設定した金額のまま淡々と積立を続けるのが最も無難で安全」です。

その理由は大きく2つあります。

理由①:そこが「底(一番低い価格)」だとは限らない

一括買い増しが成功するのは、購入したあとすぐに株価が上昇に転じた場合だけです。 しかし、相場のプロであっても「株価がいつ底を打つか」を完璧に当てることはできません。

「だいぶ下がったから今がチャンス!」と一括で買い増ししたものの、そこからさらに株価が20%、30%と暴落していくことはよくあります。そうなると、目減りしていく資産を見てメンタルが保てなくなり、最悪の場合、パニックになって全ての投資を投げ出してしまう(狼狽売り)リスクが高まります。

理由②:「生活防衛資金」を削ってしまうリスク

下落時の恐怖から「早くマイナスを取り戻したい」と焦るあまり、手元の現金を使い込んで買い増ししてしまうケースがあります。

投資の絶対原則は、数年は使う予定のない「余剰資金」で行うことです。もし人生のイベントや急なトラブルで現金が必要になったとき、投資信託をマイナスの状態で取り崩すことになってしまっては本末転倒です。手元に十分な現金(生活防衛資金)を残しておくことこそが、下落相場を生き残る一番の盾になります。

どうしても追加投資したいなら「積立額の増額」が正解

もし、手元の貯金に十分すぎるほどの余裕があり、「どうしてもこの下落チャンスを活かしたい!」と思うのであれば、一括で買うのではなく、毎月の積立設定を「数ヶ月間だけ少し増額する」という方法がおすすめです。

これなら、下落が長引いたとしても時間を分散して安値で買い続けることができるため、ドルコスト平均法のメリットを最大限に活かしながら、リスクを抑えて仕込むことができます。

【銘柄別】オルカンやS&P500が下落したときの心構えと過去のデータ

新NISAのスタートをきっかけに、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を購入した方は非常に多いと思います。

これらは世界中、あるいはアメリカを代表する超優良企業にまるごと投資できる素晴らしい商品ですが、それでも下落相場になれば当然、一気に元本割れします。

いま画面を見て不安になっているあなたへ、過去の歴史的な暴落データとともに、それぞれの銘柄の「心構え」をお伝えします。データを見れば、「今やめるのがいかに損か」がハッキリと分かります。

① 全世界株式(オルカン)が下落したときの心構え

オルカンが下がっているときは、「世界全体の景気が一時的に悪くなっているだけ」と考えましょう。

  • 過去のデータ: 世界を揺るがした2008年のリーマン・ショックの際、全世界の株価(MSCI ACWI)は約50%も大暴落しました。資産が半分になるのですから、当時の投資家の絶望は計り知れません。しかし、その後世界経済はしっかり復活し、約5年で暴落前の水準を回復。その後は過去最高値を何度も更新しています。
  • 心構え: 地球上の人口は増え続け、テクノロジーは毎日進化しています。オルカンを買っているということは、「人類全体の経済の進歩」に賭けているということです。人間の「豊かになりたい」という物欲や開発意欲がなくならない限り、一時的に下がっても、長期で見れば世界経済はまた必ず右肩上がりに戻ります。

② 米国株式(S&P500)が下落したときの心構え

S&P500が下がっているときは、「最強のアメリカ経済が、次の跳躍のためにしゃがんでいる期間」と捉えてください。

  • 過去のデータ: S&P500の歴史は暴落の歴史でもあります。古くはITバブル崩壊、リーマン・ショック、そして2020年のコロナショック。コロナショックの際はわずか1ヶ月で約30%も急落しましたが、なんと約5ヶ月という異例のスピードで元の水準を回復し、その後も凄まじい上昇を記録しました。
  • 心構え: S&P500は、時代に合わせて「そのとき最も強いアメリカ企業500社」を自動で入れ替えてくれる最強のシステムです。過去100年以上、どんな大暴落が来てもアメリカ株はそれを乗り越え、最高値を更新し続けてきました。「アメリカの成長力」を信じて、部屋の隅でじっと嵐が過ぎ去るのを待つのが正解です。

結論:私たちが信じるべきは「これまでの歴史」

どちらの銘柄にも共通して言えるのは、「過去の暴落で積立を辞めずに、淡々とバーゲンセールで買い続けた人だけが、その後の上昇相場で莫大な資産を築けた」という事実です。

今の下落も、歴史の1ページに過ぎません。データが証明している通り、私たちがすべきことはスマホの画面を閉じて、いつも通り放置することです。

まとめ:下落相場こそ「何もしない」が最強の投資戦略

今回は、積立投資の下落時に「減額」や「一時停止」をしてしまうことに潜むリスクと、正しい向き合い方について解説しました。

最後に、この記事の大切なポイントを振り返りましょう。

  • 「減額」や「一時停止」はセーフではない: 安い時にたくさん仕込むという、ドルコスト平均法最大のメリット(バーゲンセール)を自ら放棄することになり、将来の利益を大きく減らしてしまいます。
  • 無理な「一括買い増し」も不要: そこが底値とは限りません。焦って生活防衛資金を崩すくらいなら、いつもの金額のまま淡々と続けるのが一番安全です。
  • オルカンやS&P500の歴史を信じる: 過去のどんな大暴落も、歴史的には一時的な「しゃがみ込み」に過ぎませんでした。これまでの歴史が、継続した人が最後に勝つことを証明しています。

明日から実践できる!下落時のチェックリスト

下落を見て心がザワザワしたときは、次の行動をとってみてください。

  1. 証券口座のアプリをスマホから消す、または見ない: 毎日評価損益を見ても株価は上がりません。
  2. 「評価額」ではなく「持っている口数」を確認する: 下落している今この瞬間も、あなたの資産(口数)は着実に増え続けています。
  3. 本業や趣味、好きなことに没頭する: 投資は自動に任せて、今を楽しむことが長期投資を成功させる最大のコツです。

積立投資において、下落相場は「資産が減る恐怖の期間」ではなく、「将来大きく増やすための仕込み期間」です。

周りの声や目先の赤字に惑わされず、フクロウと一緒にどっしりと構えて、淡々と積立を続けていきましょう!数年後、あの時やめなくて良かったと笑顔で振り返る日が必ず来るはずです。

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